涙でにじんで
金曜日、仕事が終わって疲れて家に帰る
はぁー・・・疲れた。
オートロックにカギを差込み扉を開けて中にはいる
就職してから引っ越しした少し広い目の部屋
いつ花沢類が来ても・・・泊まっていってもらえる様に。
現実は片手で数え切れるほどしか来てないけど・・・
花沢類は大学を出て花沢物産に入ってから、それはそれは
ホントに忙しくて、学生時代あんなに寝て過ごした人が
こんなに寝ないで大丈夫?って思うくらいに忙しいくて・・・近頃じゃ、デートだってままならない。
デートなんて呼べるようなものはココ半年は確実にしてない・・・もちろん明日からの週末だって予定は無し
ほとんど毎日電話での連絡はあるけど・・・
忙しいのはわかってるけど・・・
・・・少しはゆっくり逢いたい
疲れたからだと頭が、そんなわがままな思考を生み出す玄関のカギを開けて家の中にはいって心臓が口から
飛び出すほどに驚いた。「おかえり、牧野。遅かったね。」
薄茶のサラサラの髪の毛とビー玉みたいにすき透った瞳の・・・
あたしが恋焦がれている張本人が・・・
居るはずのないあたしの部屋で、天使のように微笑んで
出迎えてくれる「 ど・ど・どーしたの!花沢類ー。昨日の電話で今週末も忙しくて
逢えないっていってたじゃん。それなのに、うちに来るなんて
びっくりするじゃない! 」「嬉しすぎて、動揺してるの?
くすっ。相変わらず動揺するとよく喋る・・・」ボケッと突っ立ったままのあたしは取り合えず花沢類に
お茶でも出そうとキッチンにむかう「牧野、行こうー!」
突然やってきたかと思ったら、突然連れ出される
腕を引っ張られて車の助手席に押し込まれるいったいなんなのよ。花沢類!
−2−
何処に行くのか、何しに行くのか何を聞いても答えてもらえなくて
笑ってごまかされる・・・でも、久しぶりに花沢類の運転する車でじゃれあってるのは
楽しくて、心地よくて・・・やっぱり・・・
・・・寝ちゃったんだ花沢類に起されてついた先は、まだ見たこともない場所
真っ暗な、暗闇の中の・・・遊園地・・・?ココ・・・どこ?
そう思いながら開けてくれた助手席の扉からそっと足を下ろしたその瞬間に一斉に光りだすパノラマ
驚いて声にならないあたしの横で、にっこりと微笑みながら
花沢類が、オンナってこーいうのスキでしょ なんて珍しく的を得たコト
を言ってる・・・手を掴まれて走り出す
「いままで忙しくてデートできなかった分おもいっきり楽しもう!」
めずらしくアクティブな花沢類に触発されて、いろんな疑問なんて
どっかに飛んでっちゃう。
久しぶりのデートで、久しぶりの生身の花沢類。
声だけじゃ物足りなかったあたしの心が満たされていく大声で叫びながら二人で乗るジェットコースター
遠くまで見渡せる美しい景色の観覧車ありとあらゆるアトラクションを堪能して大満足で
こんな嬉しいサプライズを用意してくれた花沢類に感激する
きっと忙しいのに無理してくれたんだろうな・・・少し疲れてベンチで並んで座る
そして花沢類はポケットからケータイを取り出してどこかに電話する「・・・うん、そろそろお願い。」
・・・仕事かな?もう帰んなくちゃいけないのかな・・・
ケータイを元のトコロへしまい込んでる花沢類は、あたしのそんな
気持ちがわかったのか優しく頭をポンポンってしてくれて
「仕事じゃないよ。今日も明日も明後日も休み取ったから。
ずーっと一緒に居れるよ
それより牧野、こっち来て・・・」
その瞬間、辺りが来た時のように真っ暗闇になる・・・
・・・何も見えない花沢類に手をひかれて連れてこられると同時に魔法のように
暗闇の中にキラキラと輝くメリーゴーランドが浮かぶ
綺麗な音色を醸しながら夜空に光を反射させている今まで見たどんな景色よりも美しくて、思わず息を呑む
ふたり手を繋いだまま馬に跨ると、ゆっくりと廻りだす
上下に動きながらゆっくりと廻るメリーゴーランド
見える景色は花沢類だけで・・・
あたしの目に映るのは花沢類だけで・・・
ほしいモノは花沢類だけ。
こんなステキな夜にうっとりと頭の中が痺れている「・・・牧野。結婚しよ」
痺れた頭になかなか届かない彼の声・・・
信じられない彼の言葉・・・「え・えぇー!」
「忙しくて牧野に逢えない日が続くのはもうイヤなんだ
いつも一緒の時間をすごしたいんだ
同じものを見て同じ様に感じたいんだ・・・
だから・・・オレと結婚して・・・」思いもかけない突然のプロポーズ。
うれしくてうれしくてただ頷くしか出来なかった・・・花沢類があたしの左手を取り、そっと薬指に口付けをおとし
メリーゴーランドに負けない程にキラキラ輝く指輪を嵌める「これでオレのものだね・・・やっとすべてを手に入れられる」
美しく暗闇の中に浮かびあがる廻るメリーゴーランドの上で
優しく引き寄せられ見つめあいキスをするきっとわすれない。
いつまでも今日と言う日をわすれない・・・ビー玉みたいにすき透った瞳が
サラサラの薄茶の髪の毛が
涙でにじんで・・・美しく輝いてる
−3−
あそこの見た事のない遊園地は今度、花沢物産がオープンさせる
らしいコトと、そのプロジェクトを任されててずっと忙しかったコトを
帰りの車の中で聞いた・・・
完成したら絶対にあそこのあの場所でプロポーズしよう
と決めていたことも・・・会えない時間もお互いに心を占めていたのは愛しい相手のコト
ばっかりだったんだね
これからもそんな気持ちを大切に一緒に生きていこうね
ずっとずっと・・・よろしくね
end
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