明日の行方

 

 

 

 

 

「類・・・牧野っておまえのこといつから類って呼んでんの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

静の結婚式から帰国して二日後、一年ぶりに会ったばかりの幼馴染から嬉しくない電話が来た。

 

 

 

「牧野に類を近づけんな。一応、釘刺しておいたけど、あきら、おまえ見張っとけ。

あとよ、牧野が類を・・・いつから類って呼んでんだ?牧野に電話してもあいつ出ねえし、

おまえから聞いてくれ。彼氏の俺が道明寺で類がなんで類なんだ?わけわかんねぇ。じゃあな!」

 

 

 

 

言いたいことだけ言って電話は切れた。

そりゃあ出ないだろ?

今、何時だと思ってる?

夜中の三時だぜ?

おまえの大事な牧野は夢ん中だ。

俺だって、あまりにものしつこさに出ただけなんだ。

司らしい・・・全くおまえは相変わらず、俺様、司様なんだな・・・ため息が出た。

総二郎に頼めよ・・・そう思ったが、総二郎に頼んだって相手にされないのは司もわかってるしな。

文句を言いながらもやってやる俺・・・自分で自分を褒めてやりたいよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんでそんなこと聞くの?」

 

昨日の司とのやり取りを思い出してぼーっとしていた俺に類が答えた。

 

「あ?司に夜中起こされてよ、おまえらがどーなってんのか聞けってうるせえんだ」

 

はぁーっとため息が出た。

 

「全く、司も嫉妬深いよね?今に始まったことじゃないけどさ。牧野は司一筋なんだからいいじゃん」

 

クスッと類が笑った。

 

 

 

 

 

類が言うことも最もなんだ。

教会でキスをしたのは牧野からだったし、まぁ、俺らが見てることは知らなかったみてえだけど。

処女と童貞で結婚なんて冗談にもなんねえとは思うけど、司の忙しさを思うとあながち冗談で終わらねえような気がする。

あのあとすぐにNYに帰っちまったしな。

牧野がこのまま大学部に進んで、牧野がNYにでも行かないと、本当に清い関係ってやつを続けそうだしな。

笑えねえ・・・。

 

 

「司も側にいれねえから不安なんだろ?この一年間、全く会えなかったし、

これからだって会えるんだかわかんねえし、

で、牧野と類が司が居たときより親密になってんのが許せねえんじゃねえ?」

牧野が司を好きなのは疑いようはない・・・

けど、類に対しても司が居たときより近い存在になっているのは俺も感じてるんだ。

 

 

「なんでだったかな?忘れた。牧野に聞いてみれば?俺、これから行くとこあるから帰る」

 

 

じゃあねと手を振って類が去って行った。

 

 

おいっと声をかけたけど、類は振り向きもせず行ってしまった。

牧野に直接聞くのかよ?

なんで俺が・・・そう思いながら、講義を終えたあと、牧野のアパートへ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

前に来たアパートとそう変わりねえな、ここに家族4人で住んでるのかよ、

信じられねえ・・・そう思いながら、ドアをノックした。

 

 

「はーい」

 

 

牧野の声がしたと思った途端ドアが開いた。

おいおい、相手確かめる前にドア開けんなよ。

 

 

「あっ!美作さん、どーしたの?」

 

 

制服にエプロン姿の牧野が出てきた。

 

 

「おっ、ちょっとな。今、いいか?」

 

 

俺はそう言いながら、玄関・・・玄関だよな?に入っていった。

そこで俺が目にしたものは・・・。

うつ伏せに寝転がりながら雑誌を読んでいる三年寝太郎・・・じゃなくて類。

 

 

「る、類!!おまえ何してんだ?用事あったんじゃねーのか?」

 

 

まさか、牧野の家に類が居るとは思ってなかったから声が裏返っちまったぜ。

 

 

「あれ?あきら、又会ったね。用事?これが用事だもん」

 

 

見ていた雑誌から顔を少し上げて類が事も無げに言った。

又、会ったねって・・・類・・・俺の話を中断した用事が牧野んとこくることかよ。

 

 

「類ね、たまに遊びに来てくれるんだよ。たまに・・・じゃないかな・・・結構来るかも?」

 

 

当たり前のことのように言う牧野。

なんか・・・違うんじゃねーか?

これはどー見ても、彼女の家に上がりこんで寛いでいる彼氏にしか見えねえぞ。

 

 

「これから、夕ご飯なんだ。たいしたものないけど、美作さんも食べてかない?

パパとママは今日遅くなるから夕飯要らないってさっき連絡あったし、進は進でさっき友達に

お呼ばれしたみたいでさ、うちのご飯より美味しいもの食べれるって出掛けちゃったんだ。

たくさん作っちゃったし、類と二人でどうしようって思ってたんだよ」

 

 

なんだかわけわかんねーけどこのまま牧野と類を二人っきりにするのもまずいよな。

 

 

「おう、俺にも食わせて」

 

 

類がなんだか面白くないような顔してたけど、見ないことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

牧野の料理は美味しかった。

昔食べたときもそう思ったけど、たいした材料使ってるわけでもねえのに、うまかった。

 

 

「・・・で、美作さん、なんか用事あって来たんだよね?何?」

 

 

片付け終わった牧野が座った。

 

 

「あぁ・・・。司から昨夜電話あってよ、牧野に電話しても出ねえから俺にかけてきたらしいんだけど。

牧野が類をなんで類って呼んでるんだとか言って 俺に聞けって言われてよ・・・」

 

 

なんで俺はこんなくだらねえことを聞きにここまで来たんだろう・・・そう思いながら話した。

 

 

「えーーーーっ!!!道明寺、そんなくだらない事、美作さんに頼んだの?

 

 

そー言えば、静さんの結婚式のこと話してるときに言ってたかも・・・道明寺」

 

 

牧野の叫び声が耳を劈いた。

 

 

「牧野、声大きい・・・」

 

 

類がボソっと呟いた。

 

 

「あーごめん、類。道明寺があんまりくだんないことで美作さんに電話するからさー。

でも・・・なんでだっただろう?類って呼んだの・・・。類、覚えてる?」

 

 

その時のことを思い出せないのか、牧野が類に話を振る。

 

 

「ううん、俺も覚えてない、あきらにそう言ったでしょ?」

 

 

笑いながら類が答えた。

 

 

「・・・・・・まぁ、そんなことどーでもいいわな。司には適当に話しとくぜ」

 

 

俺は・・・改めて二人を見て感じることがあったんだ。

そのまま、くだんねえ話をしてるうちに、牧野の家族が帰ってきて、俺と類は牧野の家をあとにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁ、類・・・おまえ、牧野のことどう思ってる?」

 

 

歩き出してしばらく経ってから、類に聞いてみた。

 

 

「ん?どうって・・・好きだけど」

 

 

今更何を聞いてるのかとでも言いたけな類。

 

 

「す、好きって・・・女としてかよ?」

 

 

たぶんそうだろうと思ったが聞いてみた。

 

 

「そうだよ。牧野、男じゃないし・・・俺そんな趣味ない」

 

 

非難の目で俺を見る類。

 

 

「で、でもよ・・・・・」

 

 

「わかってる。牧野は司しか見てないこと」

 

 

俺の言葉を遮った。

 

 

「辛くねえか?側にいて・・・」

 

 

俺なら、そんな恋は選らばねえ。

 

 

「うーん・・・辛いとは思わないけど、勘違いすることある。このまま、ずっと一緒にいれるんじゃないかって・・・」

 

 

類が切なそうに笑った。

 

 

「そっか・・・」

 

 

俺はそれ以上聞くことができなくて、俺たちは無言で歩き続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ため息なんてついてどーした?いい男が台無しだぜよ」

 

 

講義の時間潰しに来ていたカフェ、自分でも気づかなかったがため息を零していたらしい。

 

 

「総二郎か・・・」

 

 

俺は昨日のことを言ってみた。

 

 

総二郎がどう思ってるのか知りたかったのかもしれない。

 

 

「あー俺もな・・・実は知ってた。いつだったか忘れちまったけど、進だっけ?牧野の弟に偶然会ってよ、

類が三日とあけないで遊びに来るって言ってた。

非常階段だけで会ってんのかって思ってたから驚いちまったけど、牧野が類を名前で呼ぶようになって合点がいった。

司はよ、類に近づくなって言ってっけど、類が牧野を支えてっから、遠恋、なんとかうまくいってんだよな。普通、

一年も会えなきゃダメになってるっうーの。司はばかだからわかんねえのかも知んねえけど。

あきらが心配するように、牧野と類はこの一年ですげー近い存在になってると思う。

いつから名前で呼ぶようになったって聞いてもわからないはずだ。自然とそうなったんだからよ。

男と女・・・付き合いだして、さぁ今日から名前で呼ぶぞなんて決めて呼び出すなんて有りえねえ。

互いにそれだけ気心が知れたっうことだろ?まぁ、前から牧野は類に頼ってたとこあっけどな。

教会で、次はこいつらかって俺言っただろ?類が牧野と司見てどー思ってんのか確かめたんだ。

顔には出してなかったけど、やっぱ苦しいんだろなってわかった。

類は司から牧野を奪うことはしねえと思う・・・けど、牧野の気持ちが司から離れたら・・・遠慮はしねえぜ。

実際、牧野の気持ちは司にあるように見えっけど、深層心理までは誰にもわからねえ。牧野自身もな・・・」

 

 

総二郎が知っていたことにも俺と同じ考えなのにも驚いた。

自然とそうなったんだ・・・昨日、二人を見て俺はそう思ったんだ。

それだけ二人は互いに気を許してるってことだ。

牧野が司を司と呼ばないのは、付き合ってるって行っても形だけのもんで・・・

牧野にとって司は近い存在、気を許せる相手ではないんだ。

お互いを理解する前に離れちまったからな。

司がNYに渡る前は、司のが近い距離に居たのかもしれない・・・けど、今は・・・。

 

 

「あきら・・・なるようになるって。おまえが悩むことじゃねえ。んな、心配ばっかしてるとハゲっぞ」

 

 

俺の大事な髪を引っ張りながら総二郎が言った。

 

 

「うるせー気にしてっこと言うな!!!」

 

 

俺も負けじと総二郎の髪を掻きあげた。

確か、頭に傷があってそこだけハゲてたはず・・・。

 

 

「やめろ!!!」

 

 

そう言いながら総二郎が立ち上がって歩き出した。

 

俺もそのあとに続いて席を立った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いいものあげる」

 

 

そう言って類が紙袋を俺に渡した。

いつものように時間潰しのカフェで、ちょっと寝むけが襲ってまどろんでいた。

 

 

「いいものってなんだよ?」

 

 

類の目が開けて開けてと言っているように見えて、怪訝な顔をして俺は袋を開けた。

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

目の前の綺麗な瓶に言葉を無くした。

 

 

「昨日さ、会社に行ったらフランスで爆発的に売れてる養毛剤取り寄せててさ、輸入するらしいんだよね。総二郎が

あきらが気にしてるって言ってたから」

 

 

クスクスと笑いながら類が言った。

総二郎・・・俺の眉間に皺が寄った。

 

 

「俺のこと心配してるみたいだけど、大丈夫。牧野が笑ってくれてたらそれでいいんだ、俺の側じゃなくてもね。

できれは、俺の側がいいってのが本音だけど。

明日のことは誰にもわかんないし、俺は俺のやり方で行くだけ・・・じゃあ、用事あるから帰る」

 

 

後ろ手にバイバイをしながら類が立ち去った。

類の用事・・・牧野んとこ行くんだろ?類の背中にそう呟いた。

 

 

 

 

もう一度、袋から瓶を出して心の中で呟く。

 

養毛剤・・・これ、俺もう使ってるし・・・。

 

 

 

 

 

                                                   fin.

 

 

 

 

 

 

■ kokuma@感想文

 

あうう・・・。:゚(。ノω\。)゚・。

ももさんから素敵なSSをサイト復活のお祝いに頂きましたっ!

この前の続編のももさんバージョンですぅぅ

いえ、私の中ではこっちが本家です! 

ちょっと類が切なくて・・・ でもでもつくしとの距離は一層に近くて・・・

ああ、私ごときが感想を述べてはいけません!!

 

色んな事があって閉鎖を決意されたももさんの素敵なお話を、独り占めするのは

類ファンをして、ももさんのファンとして許されない行為だと思って、皆様にもお裾分けです

ながらくももさんのお話に飢えてましたから、一気に読破いたしましたわ♪

この続きも気になるところですよね〜

あきらは髪がフサフサになるのか・・・気になります。

 

ももさん、いつかまた このお話の続き書いてくださいね!

本当に素敵な贈り物をありがとうございましたm(__)m

そして、また新しい場所で出会える事を心より願っております。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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