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おいしい獲物に甘い囁き
午前10時10分
見上げた時計の針は驚くほど進んでいた
どう考えても間に合わないな・・・
あいつ・・・怒るだろうな・・・
なんて考えながら、机の片隅に鎮座しているケータイを取り
画面をスクロールして ”牧野つくし” を表示させ
通話ボタンを押す
3回コールしたところで、ウキウキ声の牧野の明るい声
「もしもし? 花沢類、どうしたの?」
こんなにも明るい声で、明るく尋ねられると
かなり言い出しにくい・・・
「・・・おはよ。あのさ、ちょっと仕事が片付かなくて
待ち合わせに間に合いそうに無いんだ。
ホント、いつもゴメンな。」
「・・・うん、わかった。 ね、花沢類・・・
仕事が終わるまで、花沢類のお家で待ってちゃダメ?
迷惑なら他で待ってるけど・・・ 」
牧野が怒ってなくて少しホッとした
最近、ずっと仕事が忙しくて待ち合わせに
間に合った事が無いから
そろそろ牧野が爆発するんじゃないかと・・・
内心ひやひやしてたから
牧野の嬉しい提案に、思わず頬が緩む
オレだって、本当は仕事なんて放り出して
牧野とふたり抱き合っていたいけど
そうするためには、オレが誰からも文句を言われないように
力を付けなければいけない
牧野を守る力をつける為、仕事に励む
迎えの車を行かせるといっても結局聞き入れてもらえなくて
そのまま仕事をしながら牧野が到着するのを待っていた
パソコンに向いながら書類を作成して
ふぅー、と一息ついて目頭を抑えながら時計を見上げると
針はすでに11時半を指していた
遅いな・・・牧野。
―― トントン・・・
そう思ったときに、部屋のドアがノックされて
牧野がひょっこり顔を出した
イスに座ったままクルリと体をドアの方に向けると
手には、ぱんぱんに膨れ上がったコンビニの袋
それを持ち上げてオレに見せるようにして
照れたようにニッコリ笑いながら
「えへへ、こんなにたくさん買ってきちゃった。
だから、花沢類は安心して仕事してね
たっぷりと時間はつぶせるからさっ」
牧野のさりげない優しさが嬉しくて
イスから立ち上がり、そのまま牧野に歩み寄って
軽く抱きしめて耳元で 「ありがと」 って囁きながら
甘く頬にキスを落とす
ホントのところは唇を食べちゃいたいけど、そんなことしたら
仕事どころじゃなくなるから
とりあえずは柔らかな頬で我慢
ウットリしてる牧野の頭にふんわりポンポンっと手を置いて
「なるべく早く終わらせるから、どっか行きたいトコ考えてて」
そう言って机に戻ってパソコンのキーボードを叩く
暫くは集中して仕事に専念する
早く仕事を終えて、牧野とデートしたいから
楽しい時間を過ごしたいから
二人の時間を大切にしたいから
科せられた事項は抜け目なく
そつなくこなしていく
牧野は、使用人が運んできたよく冷えたアールグレイの
アイスティーをストローで飲みながら
買ってきたチョコをつまんで口に放り込んで
そして、ほっぺを押さえながら、「おいしー」って
ニッコリ笑ってる
そんな姿を見てるだけでオレまで幸せな気分になってきて
自然と頬が緩んでくる
時折チラチラ、オレのほうを見る牧野と
視線を絡み合わせて、微笑みあう
牧野はオレのベッドにうつ伏せで
頬杖ついて、足をバタバタさせながら
なにやらウォーカー? なんか
情報誌らしいものを真剣に読んでいる
短い目のスカートから覗く足がやけに眩しくて
足をばたつかせた時にドキッとさせられる
子供のような牧野のしぐさの
オトナのオンナみたいな牧野の色香
やっとあらかた仕事も片付いて、ベッドの傍に近寄ると
サッと慌てて今まで読んでいたページを閉じて
雑誌を枕の下に差し込んで、白々しく笑う牧野
「・・・何? 何で隠すの?」
当たり前の疑問をぶつけると
ぷぷぷっ。 もう、噴出しそうなほど動揺しまくって
ペラペラと捲くし立て始めた
「かか、隠してなんて無いよ。ちょっと・・・手が滑ってページが
閉じちゃっただけで、隠すなんてとんでもないよ
なんで、隠さなくちゃいけないの・・・よ・・・
なにもやましい事なんて・・・ 」
ペラペラ喋ってる牧野を尻目に、先ほどまで読まれいて
今は枕の下敷きにされている雑誌を取り出して
パラパラっとめくって、牧野が 「ギャ―! やめてっ! 」
と騒ぎ出して手を伸ばしてきたページを見ると
::::::::::::::::::::::::::::::::: 流行のファッションホテル大特集! :::::::::::::::::::::::::::::::::
なんてピンク色一面で見出しがでかでかと・・・
「牧野、こういうところ行きたいの?」
「ちちちちがっ・・・ちがうっ! ただ見てただけよ 」
真っ赤な顔で、思いっきり怒鳴って否定してるけど
バレバレだよ、バレバレすぎ
牧野は気づいてないだろうけど
顔に興味ありますって書いてあるみたいなもんだよ
あんたすぐ、顔に出るんだから
ふーん、牧野でもそんなコト考えてるんだ・・・
なんか、ちょっとウレシイかも・・・
くすっ、もちろん。
お姫様のお望み、叶えてあげるよ。
「・・・なによっ、花沢類。 その不敵な笑顔は・・・」
「べっつに〜。」
なんて言いながら、牧野の顔を覗き込み
視線を絡み合わせていく
追い詰められる小鹿のようにじりじりとベッドの上へ
ずり上がって逃げる牧野
獰猛な肉食獣のようにじわじわと引きつった笑顔の牧野に
近づいて追い詰めるオレ
ベッドボードにぶつかって行き場を無くした
かわいい愛しの獲物を捕らえて、そっと抱きとめる
一瞬ビクンと体を強張らす牧野が愛しい
牧野の瞳から視線を外さずに熱く見つめたまま
頬をそっと左手で撫で上げ、唇に指を這わす
短めのスカートからすらりと伸びた足を下からツツっと
右手の人指し指で辿り、太腿の付け根辺りで
ピタリと指の動きを止める
そして
愛しい獲物の頭の芯を痺れさせるような甘い囁きを
かわいい耳元に息を吹きかけるように落とす
「・・・ねっ、このままする? それとも行く? そのホテル」
真っ赤な顔を更に赤くしながら絶句してるけど
潤んだ瞳がオレを妖しく誘ってる
いつの間にやら、オトナのオンナに変貌を遂げた牧野
このままじゃ、オレ・・・
我慢できるかどうか自信無いよ・・・
ね・・・、早く。 牧野。
end
■あとがき■
いつも皆さん、pow pow に足を運んで頂いて
本当にありがとうございます。おかげさまで、123456hitを迎える事が出来ました
感謝の気持ちで一杯です
BBSへの書き込み、メール、拍手でのコメントなどで
ありとあらゆる方々に励ましていただき
ココまでやってこれました。感謝の気持ちをこめて、たいした話ではありませんが
フリーのSSを書きました。無断転写オッケイです。
いらないかと思いますが、ご自由にお持ち帰り下さい!どうか、今後ともkokuma@pow pow をかわいがってください!
0574 W.S.R お気に召しましたらポチっとクリックお願いします!